Wine Days あの人のワインのある日常 | Wine365

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2. November 2016

Wine Days あの人のワインのある日常

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平野由希子さん(料理研究家 )

 

「男と女」と「みかんとボルドー」

 

「ダバダバダ ダバダバダ~」で知られるクロード・ルルーシュ監督の「男と女」を観てきました。デジタル・リマスター版で蘇ったこの映画は製作してから50年の月日が流れています。フランス料理、フランスワイン、そしてフランス映画偏愛の私にとっては、待ちに待った感激の劇場公開。

映画への思いを綴ると長くなってしまいそうなので、ぐっと我慢してここではワインの話を。

この映画の中にも、もちろんワインが何度となく出てきます。アンヌとジャン=ルイは仲睦まじくワインを飲んでいるのですが、その時にワインと一緒に食べていたのは「クレモンティーヌ」。フランスの歌手の名前と一緒ですが、日本の「みかん」とよく似たフランスの果物。これをつまみながら、赤ワインを飲んでいるのです。そのワインは、シャトーカルボーニュ、ボルドーのグラーヴです。

ああ、そうだよね。すごく腑に落ちた気がしました。もちろん、みかんとボルドーの赤が合うということではないのですが、フランス人にとって、何を食べたって、いつでもボルドーを飲むのは当たり前のこと。カフェでも、生牡蠣でもデザートでもボルドーの赤を飲んでいます。私もボルドーばかり飲んでいた時代がずい分長くありました。

クロード・ルルーシュはカンヌでのインタビューで「この映画で僕が試みようとしたことは、できるだけ主題を洗うこと。言い換えれば、シンプルにすること」と語っています。

ともすれば、フランス映画は主題が複雑で、台詞も長い。難解なものも少なくありません。「洗うこと」ネトワイエ、「単純化すること」サンプリフィエされた「男と女」の物語は今も色褪せることはありません。

最近のフランス料理とワインはあまりにも複雑。時にはネトワイエをするのもいいかもしれませんね。恋もネトワイエできたら、蘇ったりするかしら。

映画を観て、みかんとボルドーを買って帰りました。

 

男と女 公式サイト  otokotoonna2016.com/

平野由希子

料理研究家

料理研究家。ソムリエ。ワインバー「8huit.」「76vin」を手がける。フランス料理とフランスワインを偏愛した人生を送り、2015年フランス農事功労章シュヴァリエを叙勲。著書に「『ル・クルーゼ』だから、おいしい料理」など。 
好きなワイン 1本飲めちゃうワイン 
好きなつまみ クミンキャベツ、ポム・フリット、れんこん、有塩バター

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