森一起の今夜もコップワイン#004 白金「鈴木屋」 | Wine365

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22. February 2017

森一起の今夜もコップワイン#004 白金「鈴木屋」

 

コンクリート打ちっぱなしの洒落た外観、住所は白金。換気扇はピカピカで、黒ずんだシミや脂なんて付いていない。マスターも、ママも感じが良くて、スタッフの女性たちも親切。もちろん、難しい注文のルールとか、常連たちが決めたしきたりなんてない。どう考えても、飲食業界の鑑のような要素がことごとく否定されるのが、もつ焼きの世界だ。なぜだろう?すべてのプラス要素=マズそう!と考えてしまうのがもつマニアたちなのだ。だから、清潔で美味しく、居心地のいい鈴木屋はもつ界の優しいパンクだ。

 

 

芝浦で豚内臓の卸・小売を営む店に生まれた鈴木一郎さんは、自宅の新築を機に顧客だった都内の有名もつ焼き屋へ修行に出る。もともと、すべての部位の特質や下拵えは熟知していた。後は、タレや焼きなど、もつ焼きの調理法を学ぶだけ、同時に飲食店としての接客のセンスも磨いた。自宅ビルの完成と同時に1階部分を鈴木屋として開店。卒業した名店の技を咀嚼し、一郎さんのセンスが加わった鈴木屋のもつ焼きはすぐに評判になり、開店と同時に席が埋まる大人気店になっていく。

 

 

和風モスコミュールとも言うべき鈴木屋カクテルや生ビール、各種サワー類と共に人気が高いのがワインのミニボトル(187ml)だ。コップに軽く3杯注げて、白・赤共にリーズナブルな650円。まずは焼物を待つ間に、どこまでも澄み渡る透明な煮込み370円を注文して、白ワインで始めよう。白はシャルドネ、塩だけで調味されたシロやハツ元の上品な脂に優しくマリアージュする。そのまま白で、名物のつくね170円をやるのもいい。ここでは、130円の生ピーマンに挟んでピーマンの肉詰めのように食べる。生から焼くつくねの肉の醍醐味に、ピーマンの青い香りが追いかける。鈴木屋でしか出会えない分厚いガツやテッポウが焼けたら、赤に移ろう。赤はカベルネ・ソーヴィニヨン。卸を手がける店ならではの新鮮でジューシーなもつ焼きは、すべて150円というコストパフォーマンスだ。

 

 

さて、〆の串の前にもう1本、赤か白をお代わりしよう!味付けもやしか、酢の物で、野菜も少し胃に入れておこうか。表の四の橋商店街では、街頭のスピーカーから、懐かしいフォークソングが流れている。1杯のワインと旨いアテ、お気に入りの酒場があれば、まだまだ、この街は捨てたもんじゃない。
乾杯、鈴木屋。乾杯、一郎さん、ママ、大人になった息子さんたち。かけがえのない今夜に乾杯しよう!
1杯のワインの向うには、少しだけ眩しい明日が見える。

 

「鈴木屋」
住所:東京都港区白金3-9-8
電話:03-3441-9898
営業時間:17:00頃~売切仕舞
定休日:月曜、木曜、日曜、祝日

 

森一起

街と泡好きなライター

下町ハイボールからシャンパーニュまで街と泡好きなライター、作詞家、ミュージシャン。9年続く、雑誌『料理通信』の人気連載「安くて旨くて何が悪い!」では、東京の目利き。食のキュレートサイトdressingでは食の賢人として連載執筆中。
好きなワイン ジャン・イヴ・ペロンのヴァン・ド・フランス・ブラン・コティヨン・デ・ダム2013サン・スーフル
好きなつまみ タマリンドソースでグリルした鶏胸肉と青パパイヤをたっぷり挟んだ仏印風バインミーサンド

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