葉山考太郎のワインお悩み相談室♯5 ~ワインを悪用して、恋愛を成就させる手練手管の全て~ | Wine365

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25. March 2017

葉山考太郎のワインお悩み相談室♯5 ~ワインを悪用して、恋愛を成就させる手練手管の全て~

 

質問1

彼女がワイン学校でナンパされているようで心配です。去年から付き合っている彼女がいます。彼女はワインが好きで、3ヶ月前から週1回、ワイン学校の初級コースへ通っています。とても楽しいようで、ワイン学校での面白い話をしてくれるのですが、最近、彼女の会話に、同じクラスの受講者で「ヨシポン」なる男性の名前がチラチラ出始め、心穏やかではありません。ヨシポンは、高価なワインを大量に収集していて、クラスの女性の人気者だそうです。彼女に、何と言えばいいでしょう?(29歳、男性、不動産関係)

 

 

回答1

結論から言いますと、「何の心配もありません」。
ワイン・スクールには、いろいろなコースがあり、たくさんの人が受講しています。最も人数が多くて人気が高いのが「初級コース」です。初級コースの受講者の95%は「本当の初心者」で、真面目にワインを勉強したいと考えている人達です。ブドウの品種の違いや産地の違いからくるワインの香りや味わいの特徴を自分で体験し、ワイン・ライフを豊かにしたいとの高い志を持っています。質問者様の彼女もこのタイプでしょう。日本ソムリエ協会認定の「ワイン・エキスパート」受験も視野に入れている人も少なくありません。
問題は、残りの5%の受講生です。ヨシポンはこれでしょうね。ヨシポンは、ワインのプロで、例えば、80人もの所有者がいるブルゴーニュの特級畑、クロ・ヴージョのどの部分を誰が所有していて、ワイン界の帝王、ロバート・パーカーがどのヴィンテージに何点をつけたかまで記憶しています。海外でのワインのオークションに参加して競り落としたり、プリムール(先物買い)でボルドーの1級シャトー物をケース単位で買ったりする人です。
ヨシポンが、なぜ初心者コースを受講するのか? ずばり、ナンパ目的です。ワイン学校には、初級者コースから中級、上級コースまであります。本来、ヨシポンが受講すべき上級コースには、初々しいオネエサンは皆無で、マニアックなオジサンがとぐろを巻いています。少々の知識やワインのコレクションを持っていても、ちっとも威張れません。で、初級者コースを受講するのです。講師が、「ブルゴーニュで使う葡萄はピノ・ノワールですよ」なんて解説するのを聞くのは馬鹿々々しいので、ヨシポンは、授業に1時間以上遅刻してくるはずです。ヨシポンの勝負は、授業の後、近くのワイン・バーで開くアフター会、別名、「クラブ活動」です。クラブ活動のお店で、目を付けた美女の隣に席を取り、自分が持っている高級ワインをエサに、美女の歓心を買おうという訳です。質問者様の彼女も、ヨシポンにロックオンされているんでしょうね。
でも、心配は無用です。ヨシポンは、全くモテません。人間的な魅力のなさを高級ワインで補おうとしているのですが、不思議なほどうまく行きません。ヨシポンみたいなオジサンの特徴は以下の通りです。

 

 

(1) 小太りのアラフォーである。
(2) 独身で社会的な地位が高く、お金は持っている。
(3) 天才バカボンのパパみたいに、立派な鼻毛をたくわえている。
(4) 高級ブランド服を着ているが、西松屋の服より安く見える。
(5) ルイ・ヴィトンの小物バッグを持っている。

 

 

ヨシポンは、ワインの経験値は非常に高いのに、恋愛偏差値は30以下でしょう。美女には下心を見透かされ、1本200万円のロマネ・コンティをダシにしても、飲み逃げされるばかり。学習能力も非常に低いので、同じ失敗を何度も繰り返して飲み逃げされています。ワイン学校にしてみれば、何回も律義に受講してくれるし、(モテないし、小心者なので)問題も起さないため、ヨシポンみたいな受講生はいいお客様です。受講生の美女軍団にしてみると、「高級ワインをタダで飲ませてくれるお父さんみたいな人」と大人気です(もちろん、恋愛対象外)。若くてカッコよくて、高級ワインをたくさん持っている気前のいい男性なんて、沖永良部島の人口の10万分の1もいません。
という訳で、心配する必要は全くありません。彼女とワインを飲んでいる時に話題になる男性は、恋愛対象外と思ってイイでしょう。本当に好意を持っているなら、質問者様との会話で話題にはしませんから。ユッタリと心穏やかに彼女と美味しいワインを飲んでください。あるいは、彼女と一緒にヨシポンのワイン会に参加して、高級ワインをタダ飲みしてはいかがでしょう? その時は私も誘ってください。

 

 

 

 

 

 

 

illustration:Tetsuro Sakaki

葉山考太郎

ワイン・ライター

シャンパーニュとブルゴーニュとタダ酒を愛するワイン・ライター。ワインの年間純飲酒量は400リットルを超える。これにより、2005年、シャンパーニュ騎士団のシュヴァリエを授章。「30分で一生使えるワイン術」(ポプラ新書)など著書多数。

好きなワイン

1番はタダ酒、2番目はブルゴーニュとシャンパーニュ。3番目は千円未満のワイン

好きなワインつまみ
たこ焼き、明石焼き、お好み焼き、蕎麦汁、ハムかつ、牡蠣フライ、海老フライ

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