森一起の今夜もコップワイン#005 岩本町「Indocinoise(アンドシノワーズ)」 | Wine365

Article Wine 365

29. March 2017

森一起の今夜もコップワイン#005 岩本町「Indocinoise(アンドシノワーズ)」

 

岩本町、神田からも秋葉原からも程近い雑居ビルの中に、フランス植民地時代のインドシナがタイムカプセルみたいに潜んでいる。
アンドシノワーズは、メコン河流域の食文化に心酔した園健さんと、ラオス山岳地域の家庭料理を愛する田中あずささんがインドシナというキーワードで結ばれた魚醤とハーブの料理ユニットだ。多忙なケータリングや料理教室の隙間に、プライベートキッチンで開かれる1日ひと組の幸福な食卓。気心の知れた仲間たちとテーブルを囲む貸切の至福は、何ものにも変えられない贅沢な時間だ。

 

何の目印もない古いビルの階段を昇って行くと、ポツンとindochinoiseと書かれたポストカードがチャイムの上に貼ってある。恐る恐るドアを開けると、そこはもう100年前のインドシナのキッチン。たくさんの食材やハーブの真ん中で、あずささんが次々と見たこともない料理を仕上げている。さぁ、今日はどんなワインを合わせようか?なんと、ここは7000円のコース料金だけで、ドリンクの持ち込みはフリー。この上ない素晴らしい料理たちと、大好きなワインをペアリングできるという優し過ぎるサロンだ。

 

 

薄く切った鯛の切り身とさまざまなハーブや緑黄色野菜が和えられた前菜には、ジャン・イヴ・ペロンのメゾン・ルージュ、2014年のマグナム。川海老と豚バラと魚醤の衝撃的な出会いも、そのままこのマグナムで続けよう。ウルイと日本のなれ鮨のような魚醤が添えられたカジキのフライには、ジャンマルコのリトロッソをエチケットの絵のようにがぶ飲みしようか。チャーミングな果実感と舌先に感じるピチピチした刺激が、インドシナのスパイスたちと劇的なマリアージュを繰り広げる。

 

 

ライスペーパーに思い思いの野菜とグリルポークを載せ、発酵させた鰯とパイナップルを合わせたソースで食べる森の野菜ロールにも、ジャンマルコが美味しさの句読点を打って行く。そして、〆の大好きなゲーンノーマイには、大岡さんのル・カノンを合わせよう。ラオス北部の山のスープは、擂りおろした筍と豚肉やキノコ、そしてパーサックというラオスの魚醤のメランジェ。急斜面で育ったワインと山のスープの出会いが、みんなのハートに忘れ得ぬ時間を刻んで行く。

 

 

さぁ、マグナムをもう1杯お代わりしよう!そう言えば、ジャン・イヴ・ペロンと大岡さんは、ボルドー大学醸造学部の同期だ。食卓では、健さんがインドシナの食と文化について楽しい話をしてくれる。いつのまにか、僕らも2人もいい感じに紅くなっている。

1杯のワインと旨いアテ、お気に入りの酒場があれば、まだまだ、この街は捨てたもんじゃない。

乾杯、アンドシノワーズ。乾杯、健さん、アズちゃん。乾杯、大好きな仲間たち。かけがえのない今夜に乾杯しよう!

1杯のワインの向うには、少しだけ眩しい明日が見える。

 

 

「Indocinoise(アンドシノワーズ)」
住所 〒101-0032 東京都千代田区岩本町
予約メールアドレス:info@indochinoise.com
※詳しい住所はお申し込み時にお知らせします。
公式サイトhttp://indochinoise.com/about

森一起

街と泡好きなライター

下町ハイボールからシャンパーニュまで街と泡好きなライター、作詞家、ミュージシャン。9年続く、雑誌『料理通信』の人気連載「安くて旨くて何が悪い!」では、東京の目利き。食のキュレートサイトdressingでは食の賢人として連載執筆中。
好きなワイン ジャン・イヴ・ペロンのヴァン・ド・フランス・ブラン・コティヨン・デ・ダム2013サン・スーフル
好きなつまみ タマリンドソースでグリルした鶏胸肉と青パパイヤをたっぷり挟んだ仏印風バインミーサンド

よく見られているコラム

▲ TOP