葉山考太郎のワインお悩み相談室♯7 ~ワインを悪用して、恋愛を成就させる手練手管の全て~ | Wine365

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27. May 2017

葉山考太郎のワインお悩み相談室♯7 ~ワインを悪用して、恋愛を成就させる手練手管の全て~

 

質問1

赤ワインのシミはどうすれば落ちますか? シャトー・マルゴーの1999をもらったので、ワイン好きの彼女と、今度の土曜日の昼にウチで一緒にランチがてら試飲することになりました。彼女はいつもオシャレな白っぽい服装をしているので、もし、マルゴーが飛び散って彼女のお気に入りの服にシミが付いたら、ワインを飲むどころの気分ではなくなると思います。赤ワインのシミを落とす裏ワザがあったら教えてください。今から準備しておきます(28歳、男性、金融関係)

 

 

回答1

 白い服に付いた赤ワインのシミは、お肌のシミと同じぐらい落としにくい難敵です。1,000年前から赤ワインのシミ対策としてヨーロッパで有名なのが、「白ワインで洗う」と「塩を刷り込んで洗う」です。どちらも、それらしく聞こえますし、ロマンチックな雰囲気が満載ですが、全く効果は期待できません。それどころか、色素が固着したり、生地を傷めることになるそうです。これは、あるワイン雑誌が企画した「赤ワインのシミの落とし方」特集の実験で分かったことです。

 最も効果があったのは、「すぐに水で洗う。洗剤は使わなくてもよい」でした。水洗いだけでも劇的に赤ワインのシミが落ち、さらにクリーニングへ出せばシミは全く残りません。素早い応急措置が重要ということです。土曜日のランチでシャトー・マルゴーを試飲中に、彼女がグラスをグルグル回し、勢いが余って服に飛び散った時も、「すぐ水洗い」をおススメします。

話しはこれで終わりではなく、ここから始まります。水洗いするには、服を脱がなきゃなりません。土曜日、ディナーではなくランチで一緒に飲むということは、まだ、二人は親密な関係ではありませんね? そこで、クリーニング屋さんから戻って糊のバリバリに効いたワイシャツを彼女に渡し、「ワインのシミを落とすので、別の部屋でこれに着替えてきてください」と言いましょう。清潔感を演出するために、シャツは何が何でも「白」でなければなりません(ショッキング・ピンクと紫のストライプ柄なんて悪趣味なシャツは厳禁です)。彼女が着替えている5分間で、サクサクと水洗いをします。劇的にシミが落ちますので、ハンガーに掛けて乾かしましょう。そして、試飲を続けるのです。

 彼女は、シミの落ちた服を見て安心すると同時に、質問者様のシャツを着て「男性のシャツって、こんなに大きくてパリパリしてるんだぁ」と、「意外な男らしさ」に触れ、「初めての体験」にドキドキすることでしょう。また、質問者様のシャツを「共有」することで、二人の仲は一挙に縮まるはずです。

 ここまで読んで、質問者様は、「彼女がブラウスを着ているなら、男物のシャツでOKだけど、ワンピースならどうすればいい?」と思うでしょう。ワンピースの代わりに男物のワイシャツだと、ギリギリ隠れる長さなので、質問者様は「ウワァー、パンツが見えそう」と大喜びでしょうが(本当に見えても嬉しそうにしてはなりません)、彼女は居心地が悪いはずです。質問者様のスーツやパジャマのズボンや、ジャージを提供する手もありますが、スタイリッシュではありません。そんな時は、ソムリエさんが腰に巻いている黒い前掛け(専門用語でタブリエ)を2枚用意してください。1枚1,500円程度で上質のものが買えます。これを巻きスカート風に着てもらえばいいんです。後ろで1枚巻いて、前でもう1枚巻けば完璧なロングスカートに変身します。白いシャツに黒いロングのタイトスカートといえば、ジェームス・ボンドがMI6の本部に行った時に対応してくれる美人の部長秘書みたいで、スタイリッシュですよ。

 以上、赤ワインのシミを悪用して、恋愛を成就させる裏ワザでした。当日、うまく赤ワインが飛び散ることを祈っています。

 

 

 

illustration:Tetsuro Sakaki

葉山考太郎

ワイン・ライター

シャンパーニュとブルゴーニュとタダ酒を愛するワイン・ライター。ワインの年間純飲酒量は400リットルを超える。これにより、2005年、シャンパーニュ騎士団のシュヴァリエを授章。「30分で一生使えるワイン術」(ポプラ新書)など著書多数。

好きなワイン

1番はタダ酒、2番目はブルゴーニュとシャンパーニュ。3番目は千円未満のワイン

好きなワインつまみ
たこ焼き、明石焼き、お好み焼き、蕎麦汁、ハムかつ、牡蠣フライ、海老フライ

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