葉山考太郎のワインお悩み相談室♯12 ~ワインを悪用して、恋愛を成就させる手練手管の全て~ | Wine365

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11. October 2017

葉山考太郎のワインお悩み相談室♯12 ~ワインを悪用して、恋愛を成就させる手練手管の全て~

 

質問1

初デートで、どんなレストランへ行って、どんなワインを頼めばいいでしょう?

同じ会社の別の部署の女性に一目ぼれしました。それ以降、3ヶ月に渡り仕事を装って近づいたり、グループで飲みに行ったり、メールで少しずつ距離を縮め、ついに、来週金曜日、初めて2人で食事に行くことになりました。彼女は、ワインにハマっているとのことですが、私はワインが分かりません。で、どんなお店に行き、どんなワインを頼めば好感度が上がるでしょうか?(26歳、男性、物流関係)

 

 

回答1

 まず、来週金曜日まで、毎日いろんなワインを飲み、ワインを好きになってください。食事と一緒に、赤白ワインやスパークリング・ワインを飲むと、美味しいでしょう? ワイン好きの彼女との初デートを成功させるには、少しだけワイン好きになることが第1歩。

 3ヶ月もアタックして実現した初デートで、考えなきゃいけないのは「2回目以降に繋げる」ことです。彼女に、「楽しい」「また来たい」と思わせることが最優先。下心は、会社のロッカーに入れ、後日、使う状況が来るまで、きちんと鍵をかけておきましょう。下心は、1年放置しても腐りません。

 以上をキチンと理解して、当日、「脈あり」か「脈なし」を見極めましょう。チェックするのは、「時間通りに来たか」と「オシャレをしてきたか」の2点です。まず、待ち合わせの時間に遅れるのは最悪。入社試験の面接に遅刻する人はいません。合理的な理由がなく遅刻した場合、質問者様をナメてますね。また、デートなのに、「さっきまで引越しの手伝いをしてました」みたいに、みだれ髪にジャージ姿で来るのもダメ。脈はありません。どんなに美形の彼女でもスパッと諦めましょう。極上のワインが世界のいろんな場所でできるように、素晴らしい女性がいくらでもいます。「次、行ってみよー」です。

 彼女が時間通り、スタイリッシュなワンピースに5インチのピンヒールを履いてきたとします(5インチのピンヒールは、単に「私の個人的な好み」なので、気にせず読み進めてください)。ピンヒールを履くと分かりますが(私は、履いたことはありません。誤解のないように)、上りの階段はイイのですが、下り階段はスキーのジャンプ台の最上部に立つ以上に恐怖を感じるはずです。これを悪用し、レストランは1階ではなく、地下にある店を選びましょう。彼女が階段を下りる時、さり気なく手を取ってエスコートするのです。「さり気なさ」が超重要で、彼女の手を「毎日の通勤電車でつかまる吊革」と思って、無意識に握ってください。

 で、地下1階にある店の中からどこを選ぶかですが、中華料理は避けましょう。美味い不味いではなく、雰囲気の問題です。中華は、回転テーブルのまわりに柔道部の学生が8人坐り、思いっきり飲み食いするイメージがあります。彼女が「山賊の酒盛りフェチ」でない限り、避けるのが吉です。客がカップルばかりのオシャレで気軽なフレンチかイタリアンがいいでしょう。背伸びして、高級フレンチへ行ってはなりません。そんな店は2人で5万円以上もかかりますし、重厚な雰囲気に圧倒され、彼女も居心地が悪い思いをします。2人で1万5千円以下の店で(食事もワインも5千円以下)、雰囲気のよいお店がたくさんあります。安くて美味くて雰囲気のよいレストランを知っていることは、モテる男の必要条件です(十分条件ではありませんが)。

 当たり前ですが、お店の食事のメニューとワイン・リストはウェブを検索し、事前に十分チェックしておきます。食事は、彼女に選んでもらうのもイイんですが、「この店は、これが美味しいらしいよ」と、「さり気なさ」を装って彼女をリードすると、男らしくてポイントアップかもです。で、ワインですが、リストに載っているワインは、生産国と地区、葡萄の品種、面白話、味や香りの特徴など、一通り調べます。女子は、オシャレなスパークリング・ワインが大好きなので、重点的にチェックします。食事は何を頼んでもイイのですが、合わせるワインを選ぶ場合、「デキる男」をアピールするため、選んだ理由をでっち上げることが重要です。「肉と同じ産地だからこのカベルネ・ソーヴィニヨンにしない?」「香りが似ていると思うから、ゲヴュルツトラミネール(ゲヴュルツでも可)が合うと思う」と「さり気なく」一言つぶやけると素晴らしい。「困った時は泡頼み」で、「両方に合うワインって難しいよね……。スパークリング・ワインかなぁ。じゃあ、このフランチャコルタでどう?」でもOK。とにかく「さり気なく」、あくまでも「さり気なく」、薀蓄は必要ですが、一言だけにしておきましょう。そして、「ワインのことはよく知らないんだけど」と何度も言いましょう。実際にその通りですし、「知らない」と言うほど、ワイン好きの彼女は、見えている氷山の一角から海面下に隠れている巨大な塊を勝手に誤解して、質問者様をグルメ認定してくれるかもです。

 さて、この回答の中で、何回「さり気なく」を使ったでしょうか? 答えは8回です。とにかく「さり気なく」、そして、決して、自分が飲み過ぎたり、彼女を飲ませすぎてはなりません。初デートはサラッと短く切り上げ、2回目に繋げることが最重要です。そのための小道具として、ワインは最適です。成功を祈っています。

 

 

illustration:Tetsuro Sakaki

                                 

葉山考太郎

ワイン・ライター

シャンパーニュとブルゴーニュとタダ酒を愛するワイン・ライター。ワインの年間純飲酒量は400リットルを超える。これにより、2005年、シャンパーニュ騎士団のシュヴァリエを授章。「30分で一生使えるワイン術」(ポプラ新書)など著書多数。

好きなワイン

1番はタダ酒、2番目はブルゴーニュとシャンパーニュ。3番目は千円未満のワイン

好きなワインつまみ
たこ焼き、明石焼き、お好み焼き、蕎麦汁、ハムかつ、牡蠣フライ、海老フライ

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